科学の光で照らそう(その4)

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 兵庫県立大学(旧姫路工業大学)の設置した隣接施設であるニュースバル(New SUBARU)です。

ニュースバル放射光施設
 ニュースバル放射光施設
 エントランス

 SPring-8の線形加速器(Linac)で1GeVに加速された電子を用いて放射光を利用している隣接施設です。
 高度産業科学技術研究所および兵庫県立大学によって利用・運営されており、SPring-8に比べて、より学際領域・研究領域的な利用がなされており、11mの長尺アンジュレータを用いたビームラインを含めて、全部で11本のビームラインが設置されています。また、入射は1.0GeVですが、蓄積リング中で加速を行い、最大1.5GeVまで上げる事も可能です。

蓄積リング
 蓄積リング
 銀色の外装がある部分が蓄積リング筐体

 残念ながら時間不足で見学ツアーに参加できなかったため、蓄積リングの詳細は見る事が出来ませんでした。
 蓄積リングは周長118mのレーストラック型で加速周波数は499.955MHz、パケット数は最大198個のバンチを扱うことができます。パケット管理はSPring-8の手法を取り入れているため、絶対番地管理も可能です。

ガンマ線ビームライン
 ガンマ線ビームライン(BL01)

 蓄積リング内の電子にレーザー光を照射することでコンプトン散乱ガンマ線を発生させ、陽電子と電子の対生成、核変換のほかにガンマ線非破壊検査等への応用研究を行っています。
 検出装置に極低音に冷却したゲルマニウム検出器のほか、測定時のセンサー周辺のバックグラウンドを遮蔽するための鉛ブロックなどが置かれた部屋を新設中だったようです。

極端紫外線露光研究開発センター
 極端紫外線露光研究開発センター
 2010年10月に開設

 ニュースバル内に次期半導体リソグラフィ技術として基礎研究が進められている極端紫外線(EUV)露光を研究する開発センターが設置されています。レーザー励起X線光源を用いて干渉露光を利用し、10nmクラスのレジスト開発、マスク技術、評価技術などの開発を目指しています。
 極端紫外線露光リソグラフィー(EUVL)では半導体の製造にインテル社が導入を決定し、各国がしのぎを削っている状態です。ここで例によってですが材料系に強い日本の企業が幅を利かせており、マスクでは100%、レジストでも70%の占有率を誇っているそうです。

世界初のEUV露光装置
 世界初のEUV露光装置(BL03)

 兵庫県立大学および高度産業科学技術研究所と、Selete(半導体先端テクノロジーズ:解散済)、出光興産、三菱瓦斯化学、東京応用化学工業、日産化学工業などの企業複合体とともにEUVA(極端紫外線露光システム技術開発機構)を含めて共同研究を行っています。
 写真はEUV干渉露光による世界初の露光装置。

産業用分析ビームライン
 産業用分析ビームライン(BL05)

 ニュースバルの放射光光源の特徴となる軟X線領域に特化したXAFS(X線吸収微細構造)測定などの分析専用ビームラインです。
 物質や材料を構成する元素の化学状態や結合状態、隣接原子との距離などが解析できます。
 産業用と銘打っていますので、測定代行受託も行っており、積極的にアピールしているようです。

オマケ

 SPring-8が共用で大型の利用施設であるのに対して、こちらはかなり大学の実験室の延長の雰囲気が濃いイメージでした。実際にプレゼンターは担当をしている教授の方々などが解説をして下さっていましたし、物の置き方が大学の実験室さながらで(笑)。

施設の内の物置
 施設の内の物置

 理研やその他の企業を含めた専用・共用ビームラインを運営し、かっちりとした運営を行っているSPring-8に対して、いろんな事をチャレンジして行く場所としての学際領域的場所として提供されているニュースバルの差だと思われますが、このグチャっと感に妙に親近感を覚えるのはどうしたものかと。

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