社会見学

DDH-181

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 舞鶴が定係港になったそうで、見学日に接岸していました。

DDH-181 ひゅうが
 DDH-181 ひゅうが

 ひゅうが型護衛艦の1番艦である「ひゅうが」が、舞鶴地方隊の北吸桟橋に係留されていました。
 残念ながら甲板に上がって見学はできなかったのですが、基準排水量13,590トン、全長197m、全幅33mの艦体は他の護衛艦とくらべて明らかに一回り大きく見え、圧倒させられます。全長はそれほど差がないのですが幅と甲板までの高さによるボリューム感によってはるかに大きく感じ取れます。
 「ひゅうが」は初のヘリコプター搭載型護衛艦としてIHIマリンユナイテッド横浜工場で建造され、それまでに開発されていたいくつもの新装備や技術を投入しています。

FCS-3用レーダー
 FCS-3用レーダー

 「ひゅうが」にはその新装備の1つであるFSC-3(射撃指揮装置3型)が搭載されています。FCS-3は新戦術情報処理装置ADCS(Advanced Combat Direction System)との組み合わせにより、目標の追尾・補足だけでなく、情報入力や攻撃指示もドクトリン管制によって自動的に処理され、オペレータの負荷が軽減されています。

 FCS-3の装備の1つが艦橋に設置されているCバンドアクティブ方式フェーズト・アレイ・レーダー(大きい方のパネル)と、ESSM(Evolved Sea Sparrow Missile)を管制するために追加されたXバンドフェーズド・アレイ・イルミネーター(小さい方のパネル)です。Cバンドレーダーが捜索・追尾を行い、ミサイル管制はXバンド・イルミネータで行われ、最大探知距離200km以上、最大追尾目標数は300程度だそう。ただ、主砲管制が無いため、システムとしては特注になるとか。

 V-22オスプレイが日本の艦艇として初めて着艦したのもこの「ひゅうが」です。巷ではF-35BやハリーアなどのVTOLを運用して本当に空母になるのではないかと噂されていますが、ジェット排熱に耐えることのできる甲板を装備していないため、そのような運用は無理で、あくまでもヘリコプター型の運用が前提です。

科学の光で照らそう 2014

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 ここのところ続けて一般公開にお邪魔していますが、今年も参加。

 過去の記事はこちらを参照してください。
 2012年
  その1(SPring-8 線形加速器)
  その2(SPring-8 シンクロトロン)
  その3(SPring-8 蓄積リングとビームライン)
  その4(New SUBARU)
  その5(XFEL SACLA)
 2013年 記事(New SUBARU 蓄積リング)

 過去の訪問でおおまかな部分はご紹介させて頂いてますので、今回はそれ以外の小ネタ的なものをご紹介しようと思います。

ビームプロファイルモニタ
 ビームプロファイルモニタ

 明るく表示されている部分が直線加速器に取り付けられたビームモニタです。上から観測窓、反射鏡2枚、モニタカメラの構成となっています。
 高エネルギー電子が当たると放射化して放射能を帯びてカメラが壊れてしまうため、直接観測窓を直接カメラで観測せずに鏡で反射させてからカメラに導いています。
 測定時はビームラインに1mm厚クロム含有アルミナのスクリーンを挿入し、その反射光を鏡でカメラに導いてビーム形状を観察し、不具合があれば観察プロファイラの前段の電磁石などを調整します。
 当然ですが観測中は電子ビームが遮られてしまいますので、通常運転時はビームプロファイルのモニタリングはしません。

エネルギー圧縮システム
 エネルギー圧縮システム(ECS)

 線形加速器中で特に放射能を帯びている箇所がこのエネルギー圧縮システムシステムです。見学時は鉛のブロックを並べた遮蔽を行っていました(クリーム色の衝立様のものが遮蔽板で、上部に鉛ブロックが並べられている)。
 エネルギー圧縮システムでは偏向電磁石を用いてバンチの経路を曲げる事でバンチ内の電子の持つエネルギーの差にビーム軌道差による行路差(距離の差)を利用してエネルギー差による電子の位置を振り分け、その後の加速管で変調する事でエネルギー幅を圧縮します。
 エネルギー圧縮システムにより1%程度のバンチ内電子のエネルギー差が0.5%まで圧縮されます。

 電子の経路を曲げるためどうしても取りこぼす電子が発生し、それらが機器内の物質に当たる事で放射性を帯びるため、この区画では非運転時は遮蔽をおこなっています。実際にガイガーカウンターを当てると、2〜30カウント/secぐらいはあるようです。

 エネルギー圧縮システムの詳細についてはこちらを参照してください。

導波管の注意書き
 導波管の注意書き

 直線加速器では2856MHzの周波数で80MW・4μsec、60パルス/secの高周波を用いて電子を直線加速します。
 加速空洞に通す高周波出力は電線ではなく、強制水冷の二重パイプ形状の導波管を用いて行っているのですが、接続部のフランジボルトが緩んで隙間ができると、その隙間から加速に使っている電磁波が漏れる事により感電や火傷の恐れがあります。
 ちょっとビリビリなピクトグラムと注意書きがネジで締結している導波管の各所に付けられていました。

SACLA光源棟
 SACLA光源棟

 発振から2年、発振実験に成功した時の公開時はアンジュレータ以外はガラガラだった光源棟に、次々と機材が設置されていました。
 何気に普通の床に見えるこの光源棟の床はコンクリートを50μm精度の平面研磨を行ったという脅威の技術の賜物なのです。それぐらいの精度と確度でなければXFELの波形重ね合わせによる発振はできないのです。
 また振動も10nmレベル、温度管理は0.01℃の変動レベルで管理しているそうです。
 要らぬ心配かもしれませんが、一般公開で外部から大量にいろんなもの(チリやホコリなど)が持ち込まれるので後の清掃が大変なのではないでしょうか。入退出部に粘着マットが設置されていましたが、ほんの気休めレベルではないかと。

オプティカル・クライストロン
 オプティカル・クライストロン

 New SUBARUのレーストラック型蓄積リングに設置された国内有数の長さを誇る11m長尺アンジュレーターの反対側の直線部にあるオプティカル・クライストロン。SACLA同様に自由電子レーザー(FEL)用の光クライストロンなのですが、設営当初入れたにもかかわらず、研究するためのマンパワー不足・手をつける人が居ないことからあまり利用されていなかったとの事。
 近年、レーザーコンプトン散乱によるガンマ線専用ラインを設置して利用し始めたようです。

クライストロンと電源部
 クライストロンと電源部

高周波加速空洞
 高周波加速空洞

 New SUBARUの1GeVを維持するために1ヶ所設置された加速空洞と、その高周波を造り出すクライストロン、その電源部です。
 クライストロンのそばまでは見に行けないので遠方からの撮影ですが、塔のようにそびえ立ったクライストロンとその横の巨大な箱の電源部が印象的です。高圧・高出力高周波を取り扱うため、ケーブルも太い上に周囲を柵で囲まれているのが危険さを物語っています。

 ここからはオマケです。

ピコネコ
 ピコネコ

 SACLAの実稼働が始まり枕詞が付加されて「世界一小さいものが見えるX線レーザー ピコスコープ SACLA」となりました。
 SACLAのX線自由電子レーザーの波長は63pmで、現状世界一小さい波長で観察できる機器となります。またパルス幅は30fsと極短時間であり、原子同士の反応を観察する事ができる事が期待されます。
 一般向け広報のためにゆるキャラ®が新たに作られまして、名前がピコネコ。目が「ピコスコープ」のキャラであることから虫眼鏡をイメージしています。

播磨サクラ
 播磨サクラ

 どうしてこうなった的驚きが凄かったのがこちらの播磨サクラ。これはポスターですが、実はメカものアニメのオープニングをイメージしたアニメーションがあり、その中の一コマだったり、イメージイラストなどがあちらこちらに貼ってありました。
 後ろにある機材のカバーだとは思いますが、施設内各所に頻出しています。
 建家2階のホール会場では制作されたアニメが大きなディスプレイで放映されていました。YouTubeバージョンとは一部違う映像で、別途制作されたものを流していた模様。


 未来光子 播磨サクラ

 なかなかマニア受けする設定があり、クリエーター側のスタッフ名が凝っています。ネタバレ覚悟の方はどうぞ。
 企画・プロデュース
 礼座美夢(れいざ・びいむ/レーザービーム)
 彦目 透(ぴこめ・とおる/ピコ目通る)
 杏樹鈴大(あんじゅ・れいた/アンジュレータ)
 シリーズ構成 寺戸瑠次(てらへ・るつ/テラヘルツ/THz)
 助監督 三黒奈乃(みくろ・なの/ミクロ〜ナノ)
 キャラクターデザイン 富江向斗(ふえ・むと/フェムト)
 総作画監督 須羽 昆(すぱ・こん/スパコン)
 美術監督 榮美丹守(えみ・たんす/エミッタンス)
 色彩設計 布央 敦(ふお・とん/フォトン)
 編集 葉 流清(パ・ルス/パルス)
 音響監督 家倉 登(カソ・ド/カソード)
 アニメーション制作 オングストローム兵庫
 監督 江楠 礼(えくす・れい/エックスレイ/エックス線)

 ちなみに提供は「ピコスコープ・SACLA」です。

 SPring-8の施設一般公開は楽しいのですが、なにせ広い敷地内をあっちへこっちへ移動するため、移動用バスが巡回しているとは言え、かなり疲れます。こんな事を言うと、案内してくださっているスタッフの方々から文句が来そうですが。
 また、今回は天候も良かったこともあり別件で理化学研究所が有名に(苦笑)なった事も手伝ってか8,000人を超える来場者数があり、かなりどこも混雑していました。

 少し残念なのは、見学コースの対象となっている施設内の場所がだんだんと減ってきている事です。
 すでにSPring-8の蓄積リングの全周、シンクロトロンリングは見る事ができなくなっていますし、直線加速器棟の2階(クライストロンや高周波電源がある)も公開されていません。
 スタッフの方もご苦労があるかとは思いますが、次回にはぜひ公開して見せて頂きたい事を願ってやみません。

科学の光で照らそう

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 高輝度放射光施設(Spring-8)の施設公開に行きました。

New SUBARU
 New SUBARU(ニュースバル)放射光施設棟

 今年は昨年に行けずに悔しい思いをしたニュースバル放射光施設の見学ツアーで中を拝見させて頂きました。
 ニュースバルは兵庫県がSpring-8の敷地内に設置された放射光施設で、共用の直線加速器(LINAC)で1.5GeVに加速された電子塊(バンチ)を利用して独自の蓄積リングで放射光を発生させて利用するための施設です。
 発生させる放射光は軟X線から極短紫外線の範囲でSpring-8の硬X線での運用に対して相補的な利用が出来るようになっています。

電子ビーム分岐部
 電子ビーム分岐部
 右側に延びる建家がニュースバル向けの導入路
 中央のかまぼこ型の建家が直線加速器棟
 左側は8GeVへ加速するためのシンクロトロン

 LINACで加速後写真右側に延びているトランスポートトンネルを通って電子バンチはニュースバルに導入されます。

電子ビーム導入部
 電子ビーム導入部
 向かって左側から導入される

蓄積リングの一部
 蓄積リングの一部(外観)

 蓄積リングは2カ所に14mの直線部があるレーストラック型というユニークな形状をしていて周長は118.731mあり、1.0GeV〜1.5GeVのエネルギーで電子を蓄積することができます。

電源群
 電源群
 右奥の巨大な筐体がクライストロン用インバータ電源

 蓄積リングの内側スペースには装置類への電源などが設置されています。
 通常クライストロンは放電時の保護のためにコンデンサーを用いた巨大なクローバー回路を必要としますが、ニュースバルではインバーター電源を用いる事でこれらを省略し、効率化・小型化をしています。

高周波加速空洞
 高周波加速空洞

 蓄積リングで放射光を出した電子はエネルギーを失いますので、それを補填するために高周波を使って加速を行います。ニュースバルの周長118.731mに対してバンチの総数198個を管理しますので高周波加速器の発振周波数は499.955MHzとなり、加速された電子は蓄積リング中を1周396nsで周回します。

用周期可変アンジュレーター
 自由電子レーザー用周期可変アンジュレーター
 BL1a/BL1b/BL2

 挿入光源(アンジュレーター)は永久磁石を使い放射光を得る事が多いのですが、こちらでは波長調整範囲を広く取るために永久磁石ではなく電磁石によるアンジュレーターがあります。
 ここで得られるコンプトン散乱によるガンマ線を用いて長寿命の核廃棄物処理の研究が行われており、実際にビームラインでは原発事故での回収土壌を封じ込め・保管する容器の評価試験を行っていました。

長尺アンジュレータ
 長尺アンジュレータ
 BL9/BL10

 またニュースバルではSpring-8に次ぐ世界有数の長さをもつ長尺アンジュレータが設置されており、11mの永久磁石型アンジュレータが導入されています。
 長尺アンジュレータによって得られたコヒーレント性の高い軟X線によりナノメータ以下の測定を行うミラー形状測定技術を開発しているそうです。

ビームライン測定部
 ビームライン測定部(BL5A)

 写真の測定部はビームラインBL5のもので、産業分析用ビームラインとして運用されていて、物質・材料を構成する元素の化学状態・結合状態・隣接原子との距離などが解析でき、物性分析ができます。

 ニュースバルはSpring-8の連続終夜運転と違い、運用時間を企業利用者向けに合わせているため9:00〜21:00となっています。企業利用者が泊まり込みでの外部施設での測定というのは難しい側面があり、このようになっているとのこと。
 また、電子バンチはSpring-8が優先されるため、LINACで加速した電子をニュースバル向けに振り分けてもらうのに待たされる事も多く、運用に苦労しているようでした。

 ニュースバルでの産業利用を促進するため放射光施設を利用した分析を受託する組織としてシンクロトロンアナリシスLLCという会社を立ち上げ、先の写真にある産業用ビームラインを活用して新しいビジネスを目指しているそうです。

 学術・研究利用の大型放射光施設であるSpring-8に対して、ニュースバルはこじんまりした分、小回りを利かせて多様な用途を提供して産学連携の放射光施設を目指しているようです。

 Spring-8もそうですがニュースバルも1999年の運用開始から10年以上経過し、経年劣化による施設や設備、機器類のほころびがいろいろ出ているとの事。ニュースバルは小回りが利く分、施設更新をこまめに行っているようですが、Spring-8はなかなかそうもならずアボートしないものの運用の補修・保守には苦労しているとお伺いしました。
 成果を上げているのですから、もう少し科学振興予算を突っ込んでも良いのではないかと思います。少なくともこのクラスの第3世代大型放射光施設は世界で3カ所しかなく、X線自由電子レーザーであるSACLAやニュースバルなどの複合施設として運用できるのは世界中探してもここだけです。
 日本の次世代科学技術や産業技術のためにも頑張ってほしいものです。

 余談ですが、Spring-8でのお話。
 関西電力の電気代値上げでかなり苦労させられているとのこと。なにせ運用時最大36,900kWを消費します。設備更新や入替で省エネになる機器へのリプレースなどで節約に頑張っていらっしゃいました。ちなみに年間電気代は19億円(平成21年度実績)だそうです。

科学の光で照らそう(その5)

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 一番新しい施設SACLA。名前が和風です。

 XFEL(自由電子X線レーザー)は原理的には解っていましたが、実際に施設として運用できるスケールかつ実用になるレベルの強さの光が出せるかとなると別です。

パネルセッション
 パネルセッション

 各国のXFEL施設の対比表が掲出されていました。
 まあ、この手のアピール点として自分たちの目立つ所を目立つように表現するのですごく良く見えます。はやぶさの場合と同じで少ない予算でこじんまりとしつつ、目的を達成して実現してしまうという日本のお家芸的な印象があります。

 実際に米国のLCLSの後発ということもありますが、全長が最も短く、加速エネルギーが一番低く、なおかつレーザー波長が最も短い(高エネルギー)、さらにお安く仕上がっております(笑)。いや、感心しますよ本当に。

光源棟
 光源棟

 加速器部分(加速器棟)を見学できなかったのですが、光源棟の中は公開されていました。
 実際に機器が設置されているのは現状は中央のラインのみで、今後徐々に設備が設置されていくようです。
 奥の方に黒っぽく小さく写っている機械の固まりのような物がXFELのための真空封止アンジュレータです。

ビームダンプ
 ビームダンプ

 不要になった電子塊はビームダンプで破棄されます。
 ビームダンプに落とすための偏向電磁石が置かれていましたが、これもまたやっぱり巨大な電磁石でした。

実験研究棟内部
 実験研究棟内部

 やはりここも巨大な空間を構築するターゲットの置かれる場所。這い回る電線の太さと数が強烈です。

SACLAからの入射点
 実はSACLAのXFEL用の高品位電子ビームをそのままSpring-8に入れるための追加施設を施工中で、上の写真はSACLAから来たXFELの電子ビームをSpring-8のシンクロトロンへ入射するための入口です。
 まだ、設営中のためSACLA側からの受けを作っている段階のようです。

オマケ

電源とモータドライバ
 ラック中の電源ユニットとステッピングモータドライバ

 SPring-8で恒常的に使われる規格化された電源とステッピングモータのドライバと思われるユニットですが、SPring-8ロゴが入っていました。よく見るとあちこちの電源ユニットが全てこのタイプ。単一規格で大量に発注しコストダウンと、可換性を高めるようになっているのでしょう。

 それにしても最短波長0.6オングストロームでの位相の揃ったレーザー光というのは、大きな期待を抱かせてくれます。現在の反射鏡を用いて励起・増幅するレーザーがX線では出来ませんでしたので、XFELの意義はかなり大きいと言えます。SPring-8は放射光ですのでインコヒーレントな放射光であり、XFELではコヒーレントな光であるからこそ利用できる(観察できる)事象が拓けます。

 また、SACLAの立ち上げが非常に短い期間で発振へと至ったのは、担当した技術者たちがSPring-8の構築で遭遇した数々のトラブル解決の経験を活かして、ほとんどトラブル無しに当初の目的レベルに達成できた事も大きいそうです。
 当時SPring-8構築時に訳も解らずに現場に放り込まれて次々と発生する難題を四苦八苦した経験が役にったったとの事でした。トラブルになりそうな事象を回避しながら設計・施工出来たのは非常に工期短縮に繋がったそうです。技術の蓄積というのは大きいという事ですね。

 SACLAの解析データは膨大で、TB(テラバイト)単位になるそうです。
 これも理研の施設で世界最高速の性能を出した「京(けい)」へ高速ネットワークを経由して送信し、その処理性能を活かしてデータ処理を行う計画だそうです。

 様々な基礎研究・応用研究を行う施設が有機的に結合して運用され、新しい知見を得る事ができるよう期待します。

科学の光で照らそう(その4)

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 兵庫県立大学(旧姫路工業大学)の設置した隣接施設であるニュースバル(New SUBARU)です。

ニュースバル放射光施設
 ニュースバル放射光施設
 エントランス

 SPring-8の線形加速器(Linac)で1GeVに加速された電子を用いて放射光を利用している隣接施設です。
 高度産業科学技術研究所および兵庫県立大学によって利用・運営されており、SPring-8に比べて、より学際領域・研究領域的な利用がなされており、11mの長尺アンジュレータを用いたビームラインを含めて、全部で11本のビームラインが設置されています。また、入射は1.0GeVですが、蓄積リング中で加速を行い、最大1.5GeVまで上げる事も可能です。

蓄積リング
 蓄積リング
 銀色の外装がある部分が蓄積リング筐体

 残念ながら時間不足で見学ツアーに参加できなかったため、蓄積リングの詳細は見る事が出来ませんでした。
 蓄積リングは周長118mのレーストラック型で加速周波数は499.955MHz、パケット数は最大198個のバンチを扱うことができます。パケット管理はSPring-8の手法を取り入れているため、絶対番地管理も可能です。

ガンマ線ビームライン
 ガンマ線ビームライン(BL01)

 蓄積リング内の電子にレーザー光を照射することでコンプトン散乱ガンマ線を発生させ、陽電子と電子の対生成、核変換のほかにガンマ線非破壊検査等への応用研究を行っています。
 検出装置に極低音に冷却したゲルマニウム検出器のほか、測定時のセンサー周辺のバックグラウンドを遮蔽するための鉛ブロックなどが置かれた部屋を新設中だったようです。

極端紫外線露光研究開発センター
 極端紫外線露光研究開発センター
 2010年10月に開設

 ニュースバル内に次期半導体リソグラフィ技術として基礎研究が進められている極端紫外線(EUV)露光を研究する開発センターが設置されています。レーザー励起X線光源を用いて干渉露光を利用し、10nmクラスのレジスト開発、マスク技術、評価技術などの開発を目指しています。
 極端紫外線露光リソグラフィー(EUVL)では半導体の製造にインテル社が導入を決定し、各国がしのぎを削っている状態です。ここで例によってですが材料系に強い日本の企業が幅を利かせており、マスクでは100%、レジストでも70%の占有率を誇っているそうです。

世界初のEUV露光装置
 世界初のEUV露光装置(BL03)

 兵庫県立大学および高度産業科学技術研究所と、Selete(半導体先端テクノロジーズ:解散済)、出光興産、三菱瓦斯化学、東京応用化学工業、日産化学工業などの企業複合体とともにEUVA(極端紫外線露光システム技術開発機構)を含めて共同研究を行っています。
 写真はEUV干渉露光による世界初の露光装置。

産業用分析ビームライン
 産業用分析ビームライン(BL05)

 ニュースバルの放射光光源の特徴となる軟X線領域に特化したXAFS(X線吸収微細構造)測定などの分析専用ビームラインです。
 物質や材料を構成する元素の化学状態や結合状態、隣接原子との距離などが解析できます。
 産業用と銘打っていますので、測定代行受託も行っており、積極的にアピールしているようです。

オマケ

 SPring-8が共用で大型の利用施設であるのに対して、こちらはかなり大学の実験室の延長の雰囲気が濃いイメージでした。実際にプレゼンターは担当をしている教授の方々などが解説をして下さっていましたし、物の置き方が大学の実験室さながらで(笑)。

施設の内の物置
 施設の内の物置

 理研やその他の企業を含めた専用・共用ビームラインを運営し、かっちりとした運営を行っているSPring-8に対して、いろんな事をチャレンジして行く場所としての学際領域的場所として提供されているニュースバルの差だと思われますが、このグチャっと感に妙に親近感を覚えるのはどうしたものかと。

科学の光で照らそう(その3)

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 SPring-8の花形、蓄積リング棟とビームラインです。

ビーム入射点
 電子ビーム入射点
 手前側が蓄積リングで向こう側がシンクロトロンからのビーム

 シンクロトロンからSSBTを経由してやってきた電子ビームはここで蓄積リングに入射されます。

 蓄積リングという名前が付けられていますが、基本はシンクロトロンと同じで偏向電磁石と加速空洞などから構成されていて、シンクロトロンとの違いは放射光を取り出すためのアンジュレータなどが所々に挿入されている点です。
 蓄積リングは一周1435.95mあり、その電子ビームを通すパイプ中をほぼ光速に近い電子が周回します。
 SPring-8ではバンチ(電子塊)をRFパケットと呼んで管理しており、その総数は最大で2436個置くことができます。これらのRFパケットは非常に精密に制御された同期システムにより、絶対番地管理が可能となっており、任意のパケット位置にパケットを挿入する事もできるそうです。

加速空洞
 加速空洞

 リングを周回する蓄積電子の寿命は様々な要因で決まります。周回するだけでビームを曲げられるのでそこでエネルギーが放射光になりますし、ビームライン向けアジュレータによる放射光などでもエネルギーは失われます。それらを回復し8GeVを維持回復するために蓄積リングでは4カ所の加速空洞が設置されています。共鳴周波数はシンクロトロンと同じく508.58MHz(正確には508579360Hz)です。

 ここで光速をこの周波数で割ると波長一つの長さが算出できます(58.95cm)。RFパケットはこの間隔で置かれ、2436個置けるとありますから2つの数字を掛けると1435.95mとなり、これが蓄積リングの周長となります。蓄積リングの大きさはこの加速空洞で使われる高周波の周波数を元に設計・算出されています。実際の大きさは建設費用との兼ね合いになりますが。
 ちなみに、シンクロトロンや蓄積リングでの8GeVで加速されている電子の速度は光速の99.9999998%だそうです。

アンジュレータ
 挿入光源(アンジュレータ)
 近接磁場は0.5mT(ミリテスラ)
 クリップやペースメーカー殖込みをしていると近寄れない

 蓄積リングでは直線に進む電子を曲げないと周回するリング軌道を保てませんので偏向電磁石を使います。この偏向電磁石により電子の進行方向が曲げられると、シンクロトロン放射により赤外線・可視光から硬X線までの幅広いスペクトルで放射光が接線方向に出てきますので、そこをビームラインとします。

 また蓄積リングでは直線部分があり、そこに挿入光源(ID)としてアンジュレータが設置されています。アンジュレータからは比較的スペクトルの狭い範囲で偏向電磁石よりも輝度の高いX線が放射され、研究に活用されます。

 挿入光源として6mのアンジュレータが34基、長尺のアンジュレータ4基、ウィグラーを含む偏向電磁石によるラインが24基と全部で62本のビームラインが設置されています(計画・建設中を含む)。
 うち、26本が共用ビームラインとして利用可能。専用ビームラインも一部が産業用専用ビームラインとして複数の利用者に提供しています。

アンジュレータの磁石
 アンジュレータの磁石部

 ご覧の用にアンジュレータは周期的に磁極を反転した磁石が並べられており電子の通路に垂直方向の交番磁場を生成します。ここを電子が通過すると磁場により軌道が水平方向に蛇行することで放射光が発生します。きわめて指向性が強く、ウィーグラーや偏向電磁石と違い、広いスペクトルを持たずに基本波とその整数倍の高調波成分を含む準単色光が放射されます。
 この放射光をビームラインに導いて、この蓄積リングエリアの外にある測定機器や実験機器で利用するのです。
 SPring-8では設計時に設定された長い直線部分(30m)に後から27mの長尺アンジュレータが設置され、通常のアンジュレータ(4.5m)よりもさらに数倍輝度のある放射光を得る事ができるようになっています。
 使用されている磁石は永久磁石でネオジウム−鉄ーボロン系の異方性焼結磁石で世界最強の永久磁石だそうです。

閉鎖扉
 閉鎖扉

 蓄積リング稼働中は強いX線が飛び交っているため、それを遮蔽するために蓄積リングエリア出入口の扉は写真の様に分厚い扉になっています。なにせ医用レントゲン写真のX線管からでるX線の強さの100万倍以上の輝度があります。漏れ出しても困りますし、カンタンに開けて入る事が出来ても困るため、こんなに分厚い扉となっています。

 扉の後ろにチラと自転車が見えていますが、実はこれは構内移動用の自転車。
 なにせ直径228m、蓄積リングで一周1436m近くあります。歩いて移動していると時間も体力も無駄に消費するため、構内では自転車が大活躍なのだそうです。
 構内移動は自転車で!てなこともアナウンスしても面白かったのではないでしょうか。

構内電話
 構内電話

 蓄積リングエリア内にある構内電話ですが、ご覧の通り黒電話(600型電話機)。
 X線の嵐の吹き荒れる中、現在のようなインテリジェントな電子回路満載の電話では持たないため、アナログ回線のための単機能電話を設置しているそうです。何せ、受動素子ばかりで構成されているので、そもそもが故障知らず。電話線からの供給電力で動作するため電源も要らず。まさにこのような特殊な場所にはうってつけと言えるでしょう。もっとも、アンティーク電話として市中では高い値段で売られている場合もあるようですが。

実験ホール
 実験ホール

 ビームラインから取り出された放射光を外部の実験機器で実験する設備が置かれているのがこの実験ホールです。
 共用のビームラインや管理用のビームラインも含めて現在62本のビームラインがこのように外に引き出されて利用・運用されています。

設置機器
 設置機器
 これはリガクのイメージングプレートX線検出器

 写真は実際にビームラインBL03XU(フロンティアソフトマター開発専用ビームライン産学連合体が利用)の第二実験ハッチに設置されていたリガクの単結晶X線回折装置であるイメージングプレートX線検出器のR-AXIS。たんぱく質などの高分子結晶にX線を照射して生じた回折像を元に結晶の分子構造を解析するための装置です。
 構造物性や、成型品の変形機構の解明などの目的に設置されています。

サーバラック
 サーバラック
 写真はSACLAの中にあったサーバ

 広大な敷地に散在する設備類をそれぞれ現地で制御したり観測したりしているとあまりにも移動の無駄ですので、基本的に全てリモートで制御しネットワーク経由でデータ収集を行うようになっています。
 各施設のあちらこちらにサーバがあり、それらを用いてデータのやり取りなどを行っています。

中央制御室
 中央制御室
 これはメインパネル前
 実際は施設ごとの独立したモニタがずらっと別に並んでいる

 収集したデータや機器の制御、状態監視などはこの制御室で全て行います。
 実際に蓄積リングへ電子が注入されて運用開始となると最長で1カ月程度も連続運転を行いますので、その間は交代制の24時間態勢で運用を行います。

 当日は制御室のメインディスプレイパネルの前で白衣やSPring-8の作業着の他、法被(高輝度放射光施設と襟口に染め抜きのある特製法被)を着て記念撮影をさせてくれていました。
 白衣というのは科学者のイメージのステレオタイプなのでしょうが、化学・医学・生物の実験時位ではないでしょうか。SPring-8ではどちらかというと作業着の方が合っているような気がしますが。

 SPring-8の意外な用途に地震の震動の波や太陽・月の朝夕効果による地球の変形に起因する蓄積リングの周長の変化が加速器の周波数の補正という数値になって表れる現象を観測しており、地球科学や宇宙科学の分野での応用が期待できるのではないかという研究報告もあるようです。
 カミオカンデが測定した超新星ニュートリノがニュートリノ天文学を拓いたように、蓄積リングを周回する電子ビームが精密測定器として新たな科学の観測手段を拓く事もあるやもしれません。

オマケ

 今回、SPring-8の一般公開日で昼食をとるのに施設内の食堂棟にあるカフェテリアで頂きました。通常はプリペイドカードを購入して清算なのですが、一般公開のため事前に食券を購入する形式です。
 私は流石に遠慮して注文できませんでしたが、隣の席の女子高生と思しきグループ(女子会?)が全員お子様ランチを注文していて、羨ましい状態。なにが羨ましいかというと、

お子様ランチ
 お子様ランチ(現物見本)
 ハンバーグ、エビフライ、コーン、ブロッコリー、ポテトフライ、ケチャップライス

 お子様ランチと言えばいろんな品がチョコチョコと入って大人の目から見ても楽しげなのですが、一番の特徴はご飯ものに刺さっているお子様ランチのシンボルとも言える旗。まあ、日本の国旗だったり、百貨店の食堂であれば百貨店のロゴだったりするのですが、ここはなんと新造施設であるXFEL(自由電子X線レーザー)のSACLAのロゴの入った旗が刺さっていました。
 まさに、この日、この場所でしか食べる事の出来ないお子様ランチです。

トレー返却所
 トレー返却コーナー

 食後の食器およびトレーはこの場所で返却します。
 この緩いカーブといいメカメカしい雰囲気がなんとなく蓄積リング棟を想像させるのは気のせいでしょうか。単なる設備の問題ではないような気がして仕方がありませんが(笑)。

 ビームラインを止め、各所の運転を止め、説明用の展示物を準備し、来場者のためのディスプレイ類やイベントを用意、さらには当日の交通整理など所員を含め、関係諸子の方々の甚大なる労力により快適に施設類を見学することができました。
 この場を借りて御礼申し上げます。
 時間切れで見る事が叶わなかった場所が多数あり、次回の公開でじっくり拝見させて頂ける事を期待しております。

科学の光で照らそう(その2)

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 線形加速器(Linac)で1GeVまで加速された後は、シンクロトロンで8GeVまでさらに加速します。

高周波加速空洞
 高周波加速空洞(Accelarating Cavity)

 線形加速器と同様に高周波で電子を加速します。写真は実際に加速を行う加速空洞で、508.58MHzの共振周波数を用いて加速されます。先の線形加速器の周波数より低いため、導波管(銀色のダクト)はサイズが大きくなっています。

高周波加速空洞の銘板
 高周波加速空洞の銘板

 こちらの出力はちょっと控えめで、最大250kW。周波数こそ違いますが、これ1つで広域カバーの放送局出力並の出力を投入しており、シンクロトロンでは四カ所に設置されています。
 ちなみに8GeVに電子を加速するための加速電圧は18.2MV(メガ・ボルト)だそうです。

シンクロトロンのトラック
 シンクロトロンのトラック

 シンクロトロンは高周波加速空洞以外は、ほぼ円形のレーストラック型になっており、進んでいる電子の向きを変える青色の偏向電磁石(二極)とビームの形状を整えたり(収束・発散)する赤色の電磁石(四極)が交互に並ぶFODO構造と呼ばれる構成になっていて、収束・偏向・発散・偏向の組を1周期としています。
 シンクロトロンのリングは一周396.124mあり、このリングのパイプの中を電子が亜光速(!)で飛んでいる訳です。

6極電磁石
 6極電磁石
 写真の物は収束用

 シンクロトロンで加速される電子の持つエネルギーは完全に同じものばかりではなく、ある程度の帯域をもっています。そのため、個々の電子のエネルギー差で同じ磁場を掛けても良く曲がる電子とあまり曲がらない電子が出てきます。これは光の色収差と同じ現象で、その補正のために六極電磁石を用います。
 収束・発散のための四極電磁石と同じで、こちらも収束用と発散用があります。

電磁石カットモデル
 電磁石カットモデル

 見学者向けに、設置されている電磁石類のカットモデルが置かれています。
 大電流を流す事から、コイル巻線は内部に冷却剤を流すためのパイプ状になっています。
 ここで、それぞれの電磁石の諸元が記載されているのですが、一般的な感覚からかなり外れていると言わざるを得ない定格が記載されています。

偏向電磁石
 磁場の強さ:0.903T(テスラ)
 電流値:1500A
 重量:4500kg
 巻数:各極10ターン

四極電磁石
 磁場の強さ:15.0T/m
 電流値:535A
 重量:1050kg
 巻数:各極15ターン

六極電磁石
 磁場の強さ:225T/m2
 電流値:373A
 重量:140kg
 巻数:各極10ターン

(巻数はカットモデルから算出・諸元に記載はありません)

 ほぼ光速に近い電子の向きを曲げるために1500Aの電流を電磁石に流して磁場を発生させ、電子の進む向きを変えているのです。相対論的効果恐るべしとしか言いようがありません。日常生活では一般的に光速に近い速度で進む物体はあり得ないのですから、この馬鹿げた数字はまさにぶっ飛んでいると言えるでしょう。

偏向電磁石の電源ライン
 偏向電磁石の電源ライン

 その大電流を流すための電力供給ラインは既に電線ではなく、銅板となっていました。
 しかもプラス・マイナスの記載があるので直流です。この直流を作り出している電源の方が気になります。電源類や高周波加速空洞のマイクロ波発生部分などはこの上の階に設置されているそうなのですが、今回の見学ラインに入っていないため、どのような機材が設置されているのかは不明です。

ビームライン分岐点
 分岐点
 向かって左がシンクロトロンのトラックビームライン
 右側が蓄積リングへのビームライン

 ここでシンクロトロンのトラックを周回するか、蓄積リングへ投入するか、ビームダンプで破棄するかの分かれ道です。蓄積リングの利用状況などにより、線形加速器で加速、その後にこのシンクロトロンでさらに加速されても利用されないバンチ(電子塊)は避けられないようです。

 ちなみにこのブースターシンクロトロンではバンチの数(RFパケット)は672個置く事ができるそうです。

SSBT
 SSBT(シンクロトロン側)

SSBT区切り点
 SSBTの区切り点
 シンクロトロンから蓄積リングへのビーム輸送系の途中

 シンクロトロンから蓄積リングへビームを注入するための輸送系(SSBT)ですが、蓄積リングが運転中であっても、シンクロトロンへ入室できるように管理区域が別れています。単純に別れていると思いきや、実はこの扉の手前(シンクロトロン側)は日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)が施工、扉の向こう(蓄積リング側)は理化学研究所が施工しており、冷却系などを含めてすべてを分割しています。危険分散という建前よりも、単なる縦割りを実施したのだと思えますが。

SSBT
 SSBT(蓄積リング側)

 蓄積リングから外側に一本でも多くのビームラインを取り出すためにSPring-8では地下から蓄積リング内側に電子ビームを注入します。そのため、シンクロトロンのレベルは蓄積リングのレベルより9m下に設置されており、SSBTは71mの距離でこの高さを電子ビームが登って行く事になります。

上下方向の偏向電磁石(下)
 上下方向の偏向電磁石(下側)

上下方向の偏向電磁石(上)
 上下方向の偏向電磁石(上側)

 SPring-8の施設内で唯2カ所あるのが、この上下方向の偏向電磁石です。
 通常のシンクロトロンのトラックでは水平方向にしか曲げることはありませんが、SSBTが地下から蓄積リングへ立ち上って行くため、登坂上の始点と終点の二カ所にこの上下方向の偏向電磁石が設置されています。

 全長310mもの世界最長ビーム輸送系SSBTを抜けるといよいよ花形であるビームラインのある蓄積リングです。

科学の光で照らそう(その1)

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 年に一度の一般公開日に行ってきました、SPring-8。

蓄積リング施設外観
 蓄積リング施設外観

 小雨のパラつくあいにくの天気でしたが、一年に一回しか一般公開が無いため、ちょっと遠いのですが足を伸ばして参加してきました。とにかく人気の施設。平常の実験が行われている日には想像もできないような人、人、人でした。
 施設公開の詳細情報はこちらで参照してください(公開は終了していますので、公開前の記載と異なるものがありますがご了承ください)。

 とりあえず8GeVの蓄積リングは上空から見ないと丸く見えません。地上から撮ると、上の写真のように何か長~い建物にしか見えずさっぱりです。

 運転時は中は凄まじいX線の嵐になっていますので、ビームラインを含めて運転を止めているときだけに見ることが出来ます。今回の施設公開にあわせて運用のスケジュールをかなりやりくりしたそうで、苦労が偲ばれます。実験待ちの人からすれば、一般公開なんかどうでも良いから、オレの実験をさせてくれ!って所なのでしょうが(苦笑)。

 今回は加速器見学ツアーに参加し、SPring-8の光の元の元からスタートしてみることが出来ました。まずは線形加速器(Linac)棟へ向かいます。

 線形加速器電子入射部
 線形加速器電子入射部

 ここがSPring-8の放射光の源である電子の発生部分です。左奥に2組ある電子銃から放出された電子を加速してシンクロトロンを経由し、最終的に蓄積リングで放射光を作り出します。
 2組あるのは冗長化のためで、どちらか具合が悪くなっても実験環境を維持できるように切り替えて運用するようになっています。

電子銃
 電子銃(実物)

電子銃カットモデル
 電子銃(カットモデル)

 電子銃はバリウム含浸タングステンをカソードとして1000℃以上に加熱した上で170kVの高電圧を非常に短い時間(1nsあるいは40ns)印加し、出てきた熱電子をさらにバンチャー(入射部写真の朱色のコイル群)で電子を加速しやすいように塊にします。電子塊(バンチ)は1秒間に1回の割合で出力するとのこと。

電子銃電源
 電子銃電源
 長い碍子と床から持ち上がった高さが高電圧を物語っている

 集塊した電子を、今度は加速管で加速してやります。加速には高周波を用いるのですが、約2.8GHzの周波数で加速を行います。

加速管
 加速管

加速器全景
 加速部分

 加速のための高周波は真空管の一種であるクライストロンで生成され、建屋2階に設置された発振変調器から導波管(銅製のパイプ)を通って加速管のコイルに流されます。

クライストロン
 クライストロンと変調器

 馬鹿でかい変調器(モジュレータ)とこれまた大きいクライストロンE3721と立体回路が延々と25セット並んでいます。高周波出力はMW単位。以前は一般公開の見学ルートにこのフロアを端から端まで歩けたそうなのですが、時間短縮のため省略との事。ちょっと残念です。

直線加速器終点
 線形加速器終点

 線形加速器で1GeVまで加速された電子は、ここでSPring-8へ向かうシンクロトロンへ流すか(右端の直線ライン)、ニュースバルへ流す(青い偏向磁石で曲げられた先)かを制御します。どちらにも流さない場合はビームダンプ(中央の丸い部分)に当てて破棄します。

 線形加速器で1GeVに加速された電子はすでに光速の99%以上に加速されています。
 この状態で偏向コイルなどを用いて向きを変えるだけでシンクロトロン放射によりX線が放射されるため、稼働中はこの建屋の中は立ち入り禁止になります。さらに2.8GHzで数MWの高周波出力が渦巻いていますので、巨大電子レンジの中と同じ状態に...。

 線形加速器を出ると、次は蓄積リングに投入する8GeVまで加速を行うシンクロトロンです。

 検車場の中を含めてガッツリ鉄道系の見学内容です(笑)。

屋外に23系が留置・展示されていました。

23系
 23系車輌

 先頭車輌は左から23921(臨時)、23902(試運転)、23901(回送)となっていました。
 以前から思っていたのですが、この車輌ってかなり幅広なイメージがありますね。車高が低いだけかもしれませんが。

30系
 30系車輌(3062号車)
 昭和42年1月製造

 緑木検車場に保存されている30系唯一の車輌3062が一般公開されています。
 車内の吊り広告などは当時のものを含む古い広告を選んで掲出されており、そちらの方も楽しみの一つと言えます。

 検車場建家の中では恒例の車輌クレーンによる車輌の吊り上げ実演がありました。

クレーン実演
 クレーン実演

 緑木検車場は四つ橋線と御堂筋線の車輌を担当しているため、このようにそれぞれのカラーリングの車輌を見ることができますが、わざわざイベント用に操作する車輌を用意しています(いつもですけど)。
 実際は車輌の上で別車輌を静止するということは無いので「ハイ、ここ撮影ポイントですよ〜!」と陽気に実演担当の方がアナウンスしてくれます。

 31000系がデビューしたため、検車場の中でも新型車輌に合わせて新しいモーターの展示がありました。

10A系用MM
 10A系用モータ

21系用MM
 21系用モータ

31系用MM
 31系用モータ

 歴代車輌のモータが置かれており、出力軸を手で回して重さを体験してもらうコーナーなのですが、古い車輌は機構的なことも含めて重く、ハンドルを付けていないと手では回せませんが新型のモーターの出力軸は軽く、するすると手で回すことができます。
 大きさも重さも世代が代わるたびに小さく・軽くなっており、車輌用モーターの進化を見ることができました。

ブレーキ演算装置試験器
 10T VVVF 車用ブレーキ演算装置試験器

 ブレーキ制御を行う演算装置の試験器で、昨年は動作画面が表示されていたのですが、今年はどういう訳かスクリーンセーバー。しかもOSはWindowsXPのようで、XPはまだまだ現役OSなんですね。
 まあ、私の会社の事務用OSもXPだったりしますが。そろそろWindows7に更新しなくちゃ。

台車塗装装置
 台車塗装装置の実演
 ロボットアームがかなりの速度で動作するのが怖い

 実際に塗料の吹き付けはありませんが、今年は台車塗装装置の実演がありました。
 ロボットアームとターンテーブルが相互に動作して、台車の上から下部まで丁寧に塗装をする(はず)様子を見せてくれていました。大きなロボットアームが信じられない俊敏な動きをするため、動作中は絶対に入室禁止のはず。ロボットアームにウェスタン・ラリアットを食らわされる事、間違い無しです。
 実際の運用では、このようにオープンな状態で動作を見る事はありません。

台車塗装装置制御部
 台車塗装装置制御部

 制御卓がとなりにあり、スプレーガン(左側の制御卓)とロボットアーム(右側の制御卓)は別々の装置を組み合わせているようです。写真にもロゴが写っていますが、ロボットアームは川崎重工製のようです。

1104号車カットモデル
 1104号車カットモデル

 今回の目玉らしい3月に廃車になった1104号車のカットモデル。
 完全に切っただけという感じで、床下配線なども含めて切断面がかなり雑でちょっと残念です。もう少し展示用に手を加えた方が良いと思いますが。

転轍機操作体験
 転轍機操作体験

 屋外の隅っこで構内にある保守車輌用の軌道にある手動転轍機を操作する体験コーナーがありました。子供たちが参加しているのですが、かなりの力が必要な転轍機の操作は現場の係の人と一緒になってかけ声を掛け、力を合わせてレバー操作をしていました。

部品販売
 鉄道部品販売ブース

 私は鉄道マニアでは「無い」ので興味もありませんが、朝一番で廃車車輌の部品などを購入すべく並んでいる方々が多数列をなしていました。行先方向幕や車体番号のプレートなどが多数置かれていましたが、かなり大きなものもありどうやって持って帰るのかと思えるものも。
 イベントがあるとショップの依頼で購入してそのまま持ち込みというのも、あながち無い訳では無いようなので、マニア向け転売などもあるのかもしれません。

車輌入構口
 車輌入構口

 今回の大阪市営交通フェスティバルで緑木検車場に来て最大の発見が遠くに見えるこれ。
 春日三球・照代の漫才ネタにある「地下鉄の電車をどこから入れたんでしょうね。それ考えると眠れなくなっちゃう。」というアレの回答の一つがここ。
 緑木検車場まで陸送の後、検車場から一般路線へと至る入口です。

 その他ご紹介を割愛している展示・演示なども沢山ありました。
 ゼブラバス(今回は104系統・梅田行の表示)や現行のノンステップ・ハイブリッドバス(エコラッピングバス)、赤バスのほか、ミニ地下鉄(20系)の走行会、OSAKAはっけん隊のビデオ上映、ヘルプランド台車の展示、レールグラインダの展示と運転席試乗、マルチプルタイタンパーの実演、ニュートラム100系車輌の展示などなど。
 市電保存館の公開と併せて、毎回おなじみのものや今回初めてのものなど盛りだくさんでした。

 今回、目についたのが鉄ママ・鉄子の方々。
 特に鉄ママは子供そこのけで撮影したり移動したりとハイ・アクティビティな方々が多かったのが印象的でした。逆に野郎の鉄ちゃんが元気が無い奴らばかりなのかも知れませんけれど。

 今年はいろいろあって鉄道の日関連イベントはコレだけ。

臨時バス案内
 臨時バス案内

臨時バス
 臨時バス
 当然だがバス停も仮設

 例によって住之江バスターミナルから無料の送迎臨時バスが運行されていますので、コレに乗って会場へ向かいます。朝一番の時間帯を除き、6〜7分間隔で頻繁に運行されていますので、乗れなくてもすぐに次のバスが来ます。
 また、今回は全便ノンステップバスで運行されていました。後部座席との高低差がかなりあります。

会場入口
 会場入口

 自転車で来場している人やミニバイクで来場する人も結構あり、入口の自転車置き場は賑わっていました。

ぴたポン
 ぴたポン

 これまた恒例のぴたポンによるお出迎え。子供たちに人気でなかなか離しててもらえない様子でした。
 今回は朝から好天に恵まれたため、一番に保存車輌を車庫から引き出す様子を間近で見ることができました。

レールの上に乗る作業車輌
 作業車輌

引き出し作業中
 引き出し作業中

連結中
 連結解除準備

連結解除
 連結解除

 こんな感じで保存車庫から屋外展示用の軌道へ引き出されてきました。
 作業車輌はレールに乗るための車輪で軌道を走るのですが、動力伝達はタイヤ。微妙な接地関係を保ちながらタイヤで駆動してフリンジ付き車輪でレールの上を走っています。

31000系模型
 31000系の模型

 今回の目玉は新型車輌である31000系のお披露目です。現在試運転中で御堂筋などを走る姿を見る事ができるようです。で、その車輌の模型がすでに保存車輌車庫に置かれていました。さすがにスケールが大きいので精密です。

31000系
 31000系

 検車場の中の往復ではありますが、抽選で試乗できるようでしたが、いずれ実車が運行されるので、今あわてて乗る気はありませんので試乗会はパスです。

 大阪市営交通では小学生が社会見学を通じて元気を伝えようという取組をしていいまして、「OSAKAはっけん隊」というプロモーション活動をしています。
 そのキャラクターである「にゃんばろう」も会場に来ていました。

にゃんばろう
 にゃんばろう
 鼻の所が澪つくし(大阪市の市章)になっている

 正直、かなりユルいです(笑)。
 この他、会場には九州新幹線開通の関連か九州各県のキャラクターも登場(ブースもあります)。

くまモン
 くまモン(熊本県)
 子供に大人気である

 遭遇はしていませんが、この他にも「ぐりぶー(鹿児島)」も登場していたようです。宮崎県もあったはずなのですが失念。

 ちょっと長くなりましたので、鉄分補給の記事は次回で。

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