蒲焼き

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 この時期うなぎの蒲焼きをスーパーのチラシも含めてよく目にするのではないでしょうか?
 2005年の土用の丑の日は7月28日です(夏土用の丑の日:旧暦6月23日)。

大阪のウナギの蒲焼
 大阪のウナギの蒲焼

 いまさらここでくどくど言うほどでもない事ですが、うなぎの蒲焼きは関西・大阪(大坂・上方)と関東・東京(江戸)とはその調理法が違います。

【大坂式】
 まずうなぎを腹から割き、頭を付けたままの一匹まるのままで串を打って身の方からまず焼く。その後たれをかけ(漬け込まない)焼き上げる。

【江戸式】
 まずうなぎを背から割き、頭を取り、半分に身を切って串を打ち、皮の側からそのまま焼く(白焼)。白焼きを蒸した後、たれを付けて焼き上げる。

 背開きか腹開きかの問題ですが、大江戸番付事情によると江戸でも腹開きの調理人がいたそうで、単なる流派の違いではないかという考察をされていらっしゃいます。このあたりは「キュウリの輪切りは三葉葵の紋に似ているので輪切の調理はしない。」とかと似た事情ではないでしょうか。無理に武家制度に結びつける必要はなさそうです。

 ちなみに最近はあまり見ませんが大阪では蒲焼きにした際に一緒に焼いたうなぎの頭をまとめ売りしていて「半助」と称しています。この半助とお焼き(焼豆腐)を一緒に鰹と鯖の出汁に入れて鍋に仕立てて煮た半助鍋はおいしく豆腐を頂くのに良いようです。焼ネギを足しても風味が増します。

 うなぎの養殖というのは非常に難しいようで、ごく少数例しか成功していないようです。え?養殖うなぎを食べてるのに養殖できないなんておかしい?
 いえいえ、うなぎは卵を孵化させるのがたいへん難しい上に、その生態がはっきりせず、卵の孵化から成魚まで育てる完全養殖は出来ず、日本の養殖うなぎのほとんどは中国等から稚魚(幼体)を輸入して育てているのです。もちろん日本の川に遡上してくる稚魚(シラス)を育てて天然養殖うなぎとしているものもありますが、実際の産卵と孵化に関する生態は非常に謎の多い魚なのです。
 よく口にしている割には生態が判っていないというのも不思議な感じがしますが。

[参考文献]
 石川英輔 大江戸番付事情
 講談社文庫 2004年10月15日第1刷
 「うなぎ屋」の節を参照

 牧村史陽編 講談社学術文庫 大阪ことば事典第13刷
 ハンスケ【半助】(名)の項の記述を参照

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このページは、なんぎが2005年7月25日 12:25に書いたブログ記事です。

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